「米国の高配当株ETFって、結局どれを選べばいいの?」「VYM・HDV・SPYD・SCHDのちがいがわからない」。米国の高配当株ETFは、1本で数十〜数百の高配当株に分散でき、定期的に分配金を受け取れるのが魅力です。一方で、銘柄ごとに中身も値動きもかなりちがいます。
私は38歳の会社員で、楽天証券でVYM・HDV・SPYDを保有しています。この記事では、代表的な米国高配当株ETF4本を、運用会社の公表データ(2026年8〜9月時点)をもとに比較し、目的別の選び方を整理します。
- おすすめとされる米国高配当株ETF4本(VYM・HDV・SPYD・SCHD)のちがい
- 経費率・銘柄数・利回りの比較
- 目的別の選び方と、NISAで買うときの税金
- 高配当株ETFの注意点とリスク
この記事は情報の整理を目的としたもので、特定の商品の購入をすすめるものではありません。ETFは値下がりして元本を割ることがあり、分配金が減ることもあります。利回りや経費率は変わるので、購入前に運用会社や証券会社の最新情報を確認し、ご自身の判断で選んでください。

利回りがいちばん高いものを買っておけば、間違いないんじゃないの?

利回りは「分配金÷株価」なので、株価が下がっても高く見えます。利回りの高さだけで選ぶと、値下がりや減配で結果的に損をすることもあるんです。中身とセットで見ていきましょう。
結論|米国高配当株ETFは「分散のVYM」を軸に、目的で選ぶ
| ETF | ひとことで言うと | 向いている人 |
|---|---|---|
| VYM | 約600銘柄に広く分散 | まず1本だけ持ちたい人、値動きをおだやかにしたい人 |
| HDV | 財務の健全な約75銘柄に厳選 | 守りを重視したい人 |
| SPYD | 利回りの高い約80銘柄に均等投資 | いまの利回りを重視し、値動きの大きさを受け入れられる人 |
| SCHD | 配当の継続と質で選んだ約100銘柄 | 増配にも期待したい人(日本では投資信託を通じて買う) |
4本に「これが正解」という1本はありません。ただ、銘柄数がいちばん多く、特定の業種にかたよりにくいVYMは、最初の1本として考えやすいETFです。そのうえで、利回りを上げたいのか、守りを固めたいのかで、ほかのETFを組み合わせるかを考えます。
米国高配当株ETF4本の比較表
| 項目 | VYM | HDV | SPYD | SCHD |
|---|---|---|---|---|
| 運用会社 | バンガード | ブラックロック(iシェアーズ) | ステート・ストリート | チャールズ・シュワブ |
| 経費率(年) | 約0.04% | 0.08% | 0.07% | 0.06% |
| 銘柄数 | 約600 | 74 | 78 | 約100 |
| 30日SEC利回り | 約2.3% | 3.34% | 4.65% | 約3.3% |
| 設定 | 2006年 | 2011年3月 | 2015年10月 | 2011年 |
| 連動する指数 | FTSE ハイディビデンド・イールド指数 | モーニングスター 配当フォーカス指数 | S&P500 高配当指数 | ダウ・ジョーンズ US ディビデンド100指数 |
※HDVは2026年8月31日時点、SPYDは2026年9月29日時点の運用会社公式サイトの数値。VYMとSCHDは、2026年8〜9月時点の公表値を金融情報サイト経由で確認した概数です。利回りは日々変わります。
「30日SEC利回り」は、米国のルールで決められた計算方法による利回りです。証券会社のサイトに出ている「分配金利回り」とは計算がちがうので、数字が一致しないことがあります。比べるときは、同じ種類の利回りどうしで比べましょう。

おすすめとされる米国高配当株ETF4本の特徴
VYM|約600銘柄に分散する、高配当ETFの定番
バンガードが運用するETFです。配当利回りが市場の平均より高い米国株に、時価総額に応じて広く投資します。銘柄数は約600と、4本の中で飛び抜けて多いのが特徴です。
- 強み:分散が効いていて、1つの銘柄や業種の影響を受けにくい。経費率も低い
- 弱み:利回りは4本の中で低め。高配当というより「やや配当が多い大型株の集まり」に近い
「高配当ETFを1本だけ持つなら」と考えたときに、候補の中心になるETFです。
HDV|財務の健全さで選んだ、守りの高配当ETF
ブラックロックのiシェアーズシリーズのETFです。配当を続けられるだけの財務の健全さがあると判断された銘柄に、しぼって投資します。銘柄数は74(2026年8月末時点)です。
- 強み:エネルギーやヘルスケア、生活必需品など、景気に左右されにくい業種の比率が高くなりやすい
- 弱み:銘柄数が少なく、上位の銘柄や特定の業種にかたよりやすい。銘柄の入れ替えも比較的多い
なお、iシェアーズの公式サイトでは、2026年9月時点で分配の頻度が「毎月」と表示されています。分配のタイミングを重視する人は、購入前に公式サイトで最新の分配スケジュールを確認してください。
SPYD|利回りの高い約80銘柄に均等に投資
ステート・ストリートが運用するETFです。S&P500の中から、配当利回りの高い約80銘柄を選び、ほぼ同じ割合で均等に投資します。30日SEC利回りは4.65%(2026年9月29日時点)と、4本の中でいちばん高くなっています。
- 強み:利回りが高い。均等投資なので、特定の大型株にかたよらない
- 弱み:不動産や金融、公益など、景気や金利の影響を受けやすい業種の比率が高くなりやすい。相場が大きく下がる場面では、値下がりが大きくなりやすい
利回りの高さは魅力ですが、値動きの大きさとセットで受け入れる必要があるETFです。
SCHD|配当の継続と質で選ぶ。日本では投資信託で買う
チャールズ・シュワブが運用するETFです。配当を長く続けている企業の中から、財務や収益の質で約100銘柄を選びます。配当の伸び(増配)にも期待しやすい作りとして、米国でも人気があります。
注意したいのは、SCHDそのものは、日本の主なネット証券では直接買えない点です。そのかわり、SCHDに投資する投資信託が用意されています。
- 楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型):楽天投信投資顧問。毎年2・5・8・11月に決算
- SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型):SBIアセットマネジメント
投資信託なので、100円などの少額から、円のまま積み立てできます。そのぶん、もとのETFの経費率に加えて、投資信託としての費用がかかります。

4本とも買って、分散するのはどうなの?

私自身、VYM・HDV・SPYDの3本を持っています。ただ、中身の銘柄はかなり重なっているので、本数を増やしても、思ったほど分散にはなりません。管理の手間も増えるので、これから買うなら1〜2本で十分だと考えています。

米国高配当株ETFの選び方|5つのチェックポイント
1. 銘柄数と業種のかたより
銘柄数が多いほど、1社の不祥事や減配の影響は小さくなります。銘柄数が少ないETFは、どの業種に多く投資しているかを、運用会社のサイトで確認しておきましょう。
2. 利回りの「高さ」より「続くかどうか」
利回りが高いETFには、株価が下がって利回りが上がっている銘柄も含まれます。過去に分配金がどう増減してきたかを見ると、相場が悪いときの減り方がわかります。
3. 経費率
4本とも年0.04〜0.08%ほどで、大きな差はありません。経費率よりも、中身のちがいで選んで問題ない水準です。
4. 買い方(ETFか、投資信託か)
| 項目 | 米国ETFを直接買う | 投資信託で買う |
|---|---|---|
| 買う単位 | 1株単位(米ドル建て) | 100円などの金額指定(円建て) |
| 積立 | 証券会社によっては設定できる | 簡単に設定できる |
| 分配金 | 米ドルで受け取る | 円で受け取る |
| 費用 | ETFの経費率+売買手数料 | ETFの経費率+投資信託の費用 |
5. 口座(NISAか、特定口座か)
米国ETFは、NISAの成長投資枠で買えます(つみたて投資枠の対象ではありません)。口座によって、分配金にかかる税金が変わります。
米国高配当株ETFの分配金にかかる税金
| 口座 | 米国の税金 | 日本の税金 | 二重課税の調整 |
|---|---|---|---|
| 特定口座 | 10% | 約20% | 確定申告で外国税額控除を受けられる場合がある |
| NISA口座 | 10% | かからない | できない(米国の10%はそのまま) |
NISAで買っても、米国で引かれる10%は戻ってきません。「NISAなら分配金がまるごと受け取れる」わけではない点に注意しましょう。それでも、日本の約20%がかからないので、特定口座より手取りは多くなります。
私がETFを買ったいちばんの理由は、配当金が欲しかったからです。投資信託は増えていても数字が動くだけですが、ETFは分配金が現金で口座に入ってきます。ただ、私の資産の中心は、いまも分配金を出さない投資信託です。資産を増やす役割は投資信託、分配金を受け取る役割は高配当ETFと、役割を分けて持っています。

米国高配当株ETFの注意点とリスク
値下がりする
高配当株も株式です。相場全体が下がれば、ETFの価格も下がります。分配金を受け取っていても、値下がりのほうが大きければ、合計ではマイナスになります。
分配金は減ることがある
企業の業績が悪くなれば、配当は減らされます。景気が悪い時期には、ETFの分配金も減ることがあります。「毎年これだけ入る」と決めつけて生活費を組むのは危険です。
為替の影響を受ける
米国ETFは米ドル建てです。円高になれば、ドルでの価格が同じでも、円に直した評価額や分配金は減ります。私は、円安が進んだ時期に評価額が大きく増えましたが、これは為替に助けられた面が大きく、狙ってできたことではありません。
値上がりの面では、市場全体に負けることがある
高配当株は、成長して株価が大きく伸びる企業が少なめです。そのため、相場が好調な時期は、S&P500などの市場全体に連動する商品のほうが、値上がりを含めた成績がよくなることがあります。資産を増やす途中の人は、高配当ETFだけにかたよらないようにしましょう。
分配金の再投資は自分で行う
ETFの分配金は、自動では再投資されません。受け取った分配金で買い増すかどうかは、自分で決めて、自分で注文します。
米国高配当株ETFの買い方
- 証券口座を用意する米国株を取り扱うネット証券で、口座を開きます。NISA口座も同時に申し込めます。
- 買い方を決める米国ETFを直接買うか、投資信託で買うかを選びます。少額から積み立てたい人は投資信託が手軽です。
- 口座を選ぶNISAの成長投資枠を使うか、特定口座で買うかを決めます。
- 注文する米国ETFは、ティッカー(VYMなど)で検索して、株数を指定して注文します。円のまま買える証券会社もあります。
- 分配金の扱いを決める受け取って使うのか、買い増しに回すのかを決めておきます。
お金や資産形成については、こちらの記事も参考にしてください。
米国高配当株ETFに関するよくある質問
米国高配当株ETFで、いちばんおすすめなのはどれですか?
目的によって変わるため、1本には決められません。広く分散したいならVYM、守りを重視するならHDV、利回りを重視するならSPYD、増配にも期待するならSCHDが候補になります。どれも値下がりや減配のリスクがある点は同じです。
SCHDは日本で買えますか?
SCHDそのものは、日本の主なネット証券では直接買えません。楽天証券やSBI証券などで、SCHDに投資する投資信託が取り扱われています。取り扱いは変わることがあるので、各社のサイトで確認してください。
NISAで米国高配当株ETFは買えますか?
成長投資枠で買えます。つみたて投資枠の対象ではありません。NISAでは日本の税金はかかりませんが、分配金から米国の税金10%は引かれます。
分配金は年に何回もらえますか?
VYM・SPYD・SCHDは年4回が基本です。HDVは、運用会社の公式サイトで2026年9月時点に「毎月」と表示されています。回数や時期は変わることがあるので、公式サイトで確認しましょう。
高配当ETFとS&P500の投資信託は、どちらがいいですか?
役割がちがいます。資産を増やすことが目的なら、分配金を出さずに再投資する投資信託のほうが効率的とされます。定期的に現金を受け取りたいなら、高配当ETFが合います。両方を組み合わせる方法もあります。
いくらから買えますか?
米国ETFは1株から買えます。1株の値段はETFによってちがい、為替によっても変わります。SCHDに投資する投資信託などは、100円から買える証券会社があります。
まとめ|利回りだけで選ばず、中身と目的で選ぶ
- 代表的な米国高配当株ETFは、VYM・HDV・SPYD・SCHDの4本
- VYMは約600銘柄に分散。最初の1本として考えやすい
- HDVは守り、SPYDは利回り、SCHDは配当の質と伸びを重視
- SCHDは、日本では投資信託を通じて買う
- NISAでも米国の税金10%は引かれる。値下がり・減配・為替のリスクもある
高配当ETFは、分配金を受け取る楽しみがある一方で、万能ではありません。資産全体の中での役割を決めたうえで、無理のない範囲で取り入れてください。
参考:iShares Core High Dividend ETF(HDV)/State Street SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF(SPYD)/Vanguard High Dividend Yield ETF(VYM)/Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)/楽天投信投資顧問 楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド
