「深場の釣りで、見たことのない魚が釣れた」「トウジンって食べられるの?」。アコウダイやキンメダイなど、深海の魚を狙う船釣りでは、狙っていない魚(外道)もよく釣れます。その代表格が、トウジンです。
私は静岡で、深場のアコウダイなども船から狙っていました。深場の釣りは、何が上がってくるか分からないのも面白さのひとつです。この記事では、見た目は地味でも実はおいしい深海魚「トウジン」について、特徴と食べ方、さばき方の注意点をまとめます。
- トウジンはどんな魚か(深海魚・ソコダラの仲間)
- なぜ「外道」なのに「美味い」と言われるのか
- おすすめの食べ方と、さばき方のコツ
- 深場の外道で、食べてはいけない魚の注意点

深海魚って、見た目がちょっと怖いけど、本当においしいの?

見た目で損をしている魚は多いんです。トウジンもそのひとつで、クセのない白身と、濃厚な肝がおいしいと言われています。
結論|トウジンは「持ち帰るべき外道」の深海魚
先に結論です。トウジンの特徴をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | タラ目ソコダラ科トウジン属 |
| すむ場所 | 水深300〜1,000m前後の深海 |
| 大きさ | 大きいもので全長60cm前後 |
| 見た目 | 先のとがった鼻先、大きな頭、細く伸びた尾。ウロコがザラザラしてかたい |
| 味 | クセの少ない白身で、身はやわらかい。肝がおいしいと評価が高い |
| 釣りでの位置づけ | アコウダイやキンメダイなど、深場釣りの代表的な外道 |
※市場魚貝類図鑑などの情報をもとに作成(2026年9月時点で確認)。
深場の釣りでは、1回の投入と巻き上げに時間がかかります。そのぶん、上がってきた魚は1匹1匹が貴重です。狙いの魚でなくても、おいしく食べられる魚ならありがたく持ち帰りたいところです。
外道というと「いらない魚」というイメージがあるかもしれません。でもトウジンは、釣れたら捨てずに持ち帰りたい魚です。市場にはあまり出回らないので、釣り人ならではの楽しみと言えます。
トウジンは「見た目で損をしている魚」の代表です。ザラザラのウロコを取るひと手間さえ惜しまなければ、刺身から鍋まで幅広く楽しめます。
トウジンとはどんな魚?
トウジンは、深海にすむ「ソコダラ」の仲間です。ソコダラの仲間は、頭が大きく、体の後ろに向かって細くなり、尾が糸のように伸びているのが特徴です。
- 鼻先がとがっている:頭の先がとがって突き出している
- ウロコがかたい:指が引っかかるほどザラザラしている
- 身は意外と少ない:頭が大きく尾が細いので、見た目ほど身は取れない
- 寒い時期がおいしい:冬に味がよくなると言われる

トウジンが「外道なのに美味い」と言われる理由
1. クセのない白身
トウジンの身は、クセが少ない淡白な白身です。身はやわらかく、タラに近い食感だと表現されることもあります。どんな料理にも合わせやすいのが強みです。
2. 肝がおいしい
トウジンの肝は、魚の中でもトップクラスのおいしさだと評価する図鑑もあります。刺身を肝醤油で食べる、肝和えにするといった食べ方が、特におすすめされています。
3. 市場ではあまり見かけない
トウジンは、産地の周辺で少し流通する程度で、スーパーなどではほとんど見かけません。釣った人だけが味わえる魚という特別感も、人気の理由のひとつです。
私も静岡で、深場のアコウダイなどを船から狙っていました。深場の釣りは、狙いの魚以外にも見慣れない深海魚が上がってくることがある釣りです。水深数百mの世界から、ふだん目にしない魚が上がってくるのは、深場釣りならではの面白さです。トウジンのように、見た目は地味でもおいしい外道がいることを知っておくと、釣りの楽しみがもう一つ増えます。

でも、あのザラザラのウロコ、どうやって取るの?

そこがトウジンのいちばんの手間です。包丁より、ペットボトルのキャップやウロコ取りでこそげ落とす方法が紹介されています。次の章で、さばき方をまとめますね。

トウジンのさばき方(一般的な手順)
- ウロコを取るウロコがかたくザラザラしているので、包丁でこすると刃を傷めることもあります。ペットボトルのキャップや、専用のウロコ取りを使ってこそげ落とす方法が紹介されています。
- 頭を落とし、内臓を取り出す肝は料理に使うので、つぶさないように取り出して分けておきます。
- 三枚におろす身の感覚はタラに近いと言われます。尾に向かって急に細くなるので、見た目ほど身は取れません。
- 皮を引く皮はやや厚めです。刺身にするときは皮を引きます。
ウロコがかたいので、素手でさわると手を傷つけることがあります。軍手などをして作業すると安心です。また、深海魚は種類の見分けが難しいものもあります。自信がない場合は、船長や詳しい人に確認してから食べましょう。
トウジンのおすすめの食べ方
| 料理 | ポイント |
|---|---|
| 刺身(肝醤油) | 新鮮なものは刺身で。肝を醤油に溶いた肝醤油で食べるのがおすすめとされる |
| 肝和え | 刺身を肝で和えると、濃厚なうまみが楽しめる |
| 鍋 | やわらかい白身が鍋によく合う。ポン酢でさっぱりと |
| 唐揚げ・フライ | 水分をよく切り、片栗粉をまぶしてじっくり揚げる |
| 煮付け・味噌汁 | アラからもよいだしが出る |
身が少なめな魚なので、1匹を刺身・鍋・唐揚げのように使い分けるより、1つの料理に集中するほうが満足感が出やすいと思います。刺身にするなら、鮮度のよいうちに食べるのが基本です。
肝醤油の作り方(一般的な手順)
トウジンの刺身をいちばんおいしく食べる方法として、よく紹介されるのが肝醤油です。一般的な作り方を紹介します。
- 肝を取り出して、血管や汚れを取り除くさばくときに、つぶさないように取り出しておきます。
- 肝に火を通すさっとゆでるか、酒をふって蒸すなどして火を通すのが一般的です。
- 裏ごしするか、包丁でたたくなめらかにすると、醤油となじみやすくなります。
- 醤油と合わせる好みで少しずつ醤油を加え、刺身につけて食べます。
肝の扱いについては、新鮮なものを使い、心配な場合はしっかり火を通すのが安心です。
トウジン鍋の作り方(一般的な手順)
身がやわらかいトウジンは、鍋にもよく合います。タラ鍋のような感覚で作れます。
- 切り身とアラを用意する:アラは熱湯をかけて臭みを取ってから使う
- だしを用意する:昆布だしやあごだしなど、好みのだしで
- 野菜と一緒に煮る:白菜、ネギ、豆腐、きのこなど
- ポン酢で食べる:淡白な白身には、さっぱりしたポン酢がよく合う
身は煮すぎると崩れやすいので、火が通ったら早めに食べるのがおいしく食べるコツです。
ソコダラの仲間とは
トウジンが属する「ソコダラ」の仲間は、深海にすむタラの仲間です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 体の形 | 頭が大きく、体の後ろに向かって細くなり、尾が糸のように伸びる |
| すむ場所 | 深海の海底付近 |
| 釣りとの関わり | 深場の釣りで外道として釣れることが多い |
| 食べ方 | 種類によって味は違うが、鍋や揚げ物などで食べられるものもある |
ソコダラの仲間は種類が多く、見分けが難しいものもあります。名前が分からないときは、写真を撮っておき、船長や図鑑で確認するのがおすすめです。
深場の釣りで釣れる、ほかのおいしい外道
アコウダイやキンメダイなどの深場の釣りでは、トウジン以外にもいろいろな魚が釣れます。おいしいと言われる外道の例を紹介します。
| 魚の例 | ひとこと |
|---|---|
| ユメカサゴ | 赤い体の小型のカサゴの仲間。煮付けや唐揚げで人気 |
| ソコダラの仲間(トウジン以外) | 種類によって味はさまざま。鍋や揚げ物で食べられるものも |
| クロムツ | 脂ののった白身で、深場釣りの人気者 |

深場の外道で「食べてはいけない」魚に注意
深場の外道がすべて安全においしく食べられるわけではありません。特に注意したいのが、次の魚です。
バラムツやアブラソコムツは、身に人が消化できない油(ワックスエステル)を多く含み、食べると下痢などを起こすおそれがあるため、食品衛生法にもとづいて販売が禁止されています。深場の釣りで釣れることがありますが、食べないようにしましょう。見分けに自信がない魚は、船長に確認してください。
- 見慣れない魚は船長に聞く:名前と、食べられるかどうかを確認する
- 毒のあるトゲを持つ魚もいる:素手で触らず、フィッシュグリップを使う
- 写真を撮っておく:あとで図鑑や詳しい人に確認できる
トウジンが釣れやすい深場の釣り
トウジンは、水深数百mの海底付近にすむ魚です。そのため、同じくらいの深さを狙う釣りで、外道として釣れることが多いと言われます。
- アコウダイ釣り:水深数百mの岩場を、胴突き仕掛けで狙う深場の釣り
- キンメダイ釣り:同じく深場を狙う釣りで、トウジンが外道として紹介されることが多い
- そのほかの深場の五目:深場の魚をいろいろ狙う船でも釣れることがある
深場の釣りは、電動リールや重いオモリなど、専用の道具が必要です。初めての場合は、道具のレンタルがある船宿を選ぶと始めやすくなります。
トウジンを持ち帰るときのポイント
- 釣ったらすぐに冷やす氷を入れたクーラーボックスで冷やします。
- ウロコで他の魚を傷つけないようにするザラザラのウロコがほかの魚の身を傷つけないよう、袋に分けて入れると安心です。
- 早めにさばく刺身で食べるなら、持ち帰ったらできるだけ早くさばきます。
釣りの道具や釣り方については、こちらの記事も参考にしてください。
トウジンに関するよくある質問
トウジンは食べられますか?
食べられます。クセの少ない白身で、刺身、鍋、唐揚げ、煮付けなどに向いています。特に肝がおいしいと言われ、肝醤油や肝和えがおすすめされています。
トウジンはどんな釣りで釣れますか?
アコウダイやキンメダイなど、水深数百mを狙う深場の船釣りで、外道として釣れることが多い魚です。
トウジンはスーパーで買えますか?
市場への流通は少なく、産地の周辺で少し出回る程度と言われています。一般的なスーパーで見かけることはほとんどありません。
ウロコが取りにくいです。どうすればいいですか?
ウロコがかたくザラザラしているので、ペットボトルのキャップや専用のウロコ取りでこそげ落とす方法が紹介されています。手を傷つけないよう、軍手などをして作業しましょう。
深海魚はどれでも食べられますか?
いいえ。バラムツやアブラソコムツのように、食べると体調を崩すおそれがあり、販売が禁止されている魚もいます。見慣れない魚は、船長や詳しい人に確認してから食べるかどうかを判断してください。
トウジンの旬はいつですか?
寒い時期においしくなると言われています。深場の釣りは冬に出船することも多いので、ちょうど旬の時期に出会えることがあります。
まとめ|トウジンは深場釣りの「おいしいおまけ」
- トウジンは水深300〜1,000m前後にすむ、ソコダラの仲間の深海魚
- アコウダイやキンメダイなど、深場釣りの代表的な外道
- クセのない白身と、評価の高い肝がおいしい。刺身の肝醤油や肝和えがおすすめ
- ウロコがかたいので、キャップやウロコ取りでこそげ落とす
- バラムツ・アブラソコムツなど、食べてはいけない深海魚もいるので注意
深場の釣りでトウジンが上がってきたら、ぜひ持ち帰って味わってみてください。見た目の印象がくつがえる、深海魚のおいしさに出会えるはずです。
参考:市場魚貝類図鑑 トウジン
