「幻の魚」「根魚の王様」と呼ばれるクエ。大きいものは数十kgにもなり、1本釣れれば一生の思い出になる魚です。船からの泳がせ釣りは、そんなクエを狙う代表的な釣り方のひとつです。
私は静岡で船のエサ釣りを中心に楽しみ、サビキで釣った小アジを泳がせて77cmのヒラメを釣ったこともあります。この記事では、クエの船の泳がせ釣りの仕掛け・エサ・釣り方を、泳がせ釣りの経験をふまえてまとめます。
- クエの泳がせ釣りの特徴と、ほかの泳がせ釣りとの違い
- 仕掛けとタックルの目安(ハリス・針・リール)
- エサ(活きイカ・アジなど)の付け方
- アタリから取り込みまでの流れと、根に潜られないコツ
クエ釣りは、地域や船宿によって仕掛けの太さやエサ、釣り方が大きく違います。この記事の数字は一般的な目安と一例です。必ず乗る船宿の指定を確認してください。

クエって、そんなに釣るのが難しいの?

数が少ないうえに、掛かると一気に岩の間に潜り込もうとする魚です。1日粘ってアタリが1回あるかどうか、ということもある釣りなので、「1本との勝負」だと思って挑むのがいいと思います。
結論|クエの泳がせは「太い仕掛け」と「根から引き離す最初の数秒」がすべて
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 狙う場所 | 岩礁帯・魚礁・瀬のまわり(水深50〜80m前後の例が多い) |
| エサ | 活きイカ、アジ、サバなどの活きエサ(冷凍イカを予備に) |
| ハリス | 50〜60号前後(船宿の指定による) |
| 針 | 大型の泳がせ用・クエ用の針(GT系・ムツ系の大きいサイズなど) |
| リール | 大型の電動リール、または大型の両軸リール |
| 釣れやすいタイミング | 潮の動き始めや、潮止まりの前後と言われる |
※数字は釣り情報サイトなどで紹介されている一例。地域・船宿で大きく違います。
クエの泳がせ釣りでいちばん大切なのは、掛かった直後に根(岩)から引き離せるかどうかです。岩の間に潜られると、太いハリスでもこすれて切られてしまいます。そのため、ほかの泳がせ釣りよりずっと太い仕掛けと、強いタックルを使います。
クエは、アタリがあってもすぐには食い込まないことがあると言われます。一方で、食い込んだあとは根に向かって一気に走ります。「待つ時間」と「一気に巻く瞬間」のメリハリが大切な釣りです。
クエとはどんな魚?
- 見た目:大きな口と太い体、茶色っぽい体に斜めの模様
- すむ場所:岩礁帯の岩の間や穴の中
- 大きさ:大きいものは1mをこえ、数十kgになることもある
- 呼び名:地域によって「モロコ」「アラ」などとも呼ばれる
- 味:高級魚として知られ、鍋料理(クエ鍋)が特に有名
和歌山県や静岡県の伊豆周辺など、岩礁帯が多い地域の船宿で狙われることが多い魚です。

クエの泳がせ釣りの仕掛けとタックル
| 道具 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 竿 | 大物用の強い船竿 | クエの強い引きに耐えられる、パワーのあるもの |
| リール | 大型の電動リール、大型の両軸リール | 巻き上げの力とドラグの強さが大切 |
| 道糸 | 太めのPEライン(船宿の指定) | 船内でそろえることが多い |
| リーダー | 60〜80号前後の例 | 根ずれに強いもの |
| ハリス | 50〜60号前後の例 | 長さは2m前後の例が多い |
| 針 | 大型の泳がせ用・クエ用の針 | エサの大きさに合わせて選ぶ |
| オモリ | 船宿の指定 | 水深や潮の速さで変わる |
釣り情報サイトでは、ハリス60号をメインに50号も使う、リーダーは60〜80号といった例が紹介されています。ヒラメの泳がせ釣りと比べると、仕掛けはずっと太くなります。
道具はレンタルできる?
クエを狙う船宿の中には、竿やリールをレンタルできるところもあります。専用の道具は高価なので、はじめてならレンタルがあるか確認してから予約するのがおすすめです。
エサと付け方
| エサ | 特徴 |
|---|---|
| 活きイカ | クエ狙いの定番のひとつ。アオリイカやヤリイカなど、地域で違う |
| アジ・サバ | 手に入りやすい活きエサ。船で釣って使うこともある |
| 冷凍イカ | 活きエサが弱ったときの予備に |
活きイカを使う場合は、エサが弱らないよう、針の刺し方に気をつけることが大切です。イカの胴の先のほう(エンペラを傷つけない位置)に針を掛ける方法が紹介されています。エサの付け方は船宿や船長のやり方に合わせましょう。

ヒラメの泳がせと、どこが違うの?

ヒラメの泳がせは、小アジを海底近くで泳がせて、食い込むまで待つ釣りでした。「待つ」のは同じですが、クエは掛かったあとのパワーがけた違いなので、仕掛けの太さも、取り込みの勢いもまったく別物だと考えたほうがいいと思います。

クエの泳がせ釣りの釣り方
1. 投入して、底をとる
船長の合図で活きエサを付けた仕掛けを投入し、オモリが底に着いたら、根掛かりしない高さまで少し巻き上げて待ちます。岩礁帯を狙うので、こまめに底をとり直すことが大切です。
2. アタリがあっても、すぐには合わせない
エサが追われると、竿先が小さく震えたり、エサが暴れたりする前アタリが出ることがあります。ここで焦って合わせると、エサだけ取られてしまうことが多いと言われます。竿先が大きく引き込まれるまで待ちましょう。
3. 食い込んだら、一気に根から引き離す
竿が大きく引き込まれたら、しっかり合わせて、電動リールの巻き上げや手巻きで一気に巻き、根から引き離します。最初の数メートルが勝負です。ここで止まってしまうと、岩に潜られてしまいます。
4. 浮いてきたら慎重に取り込む
根から離れれば、あとは落ち着いて巻き上げます。大きなクエは、船長や周りの人に手伝ってもらい、大きなタモやギャフで取り込みます。
私は静岡で、サビキで釣った小アジを泳がせて、77cmのヒラメを釣ったことがあります。泳がせ釣りは、エサが追われる前アタリから、本アタリまで待つ時間がいちばん緊張するところです。クエの泳がせも、その「待つ」感覚は通じると思います。ただ、クエは掛かってからのパワーと根に潜る習性がまったく違うので、太い仕掛けと、船長の指示に合わせた取り込みが欠かせない釣りだと感じています。

クエの泳がせ釣りでやりがちな失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 前アタリで合わせてエサだけ取られた | 竿先が大きく引き込まれるまで待つ |
| 根に潜られてハリスが切れた | 食い込んだら一気に巻いて根から引き離す |
| 根掛かりが多い | こまめに底をとり直し、少し上で待つ |
| 活きエサがすぐ弱った | 針の刺し方に気をつけ、エサを交換する |
| ドラグがゆるくて主導権をとられた | 船長や船宿のアドバイスで、ドラグを強めに設定する |
クエ船の1日の流れ(一例)
クエ船は、朝に出船し、まずエサになるアジやイカを釣ってから、クエのポイントに向かうこともあります。船宿によっては、活きエサを用意してくれるところもあります。ポイントに着いたら、船長の合図で投入し、潮の流れに合わせて何度も流し直しながらアタリを待ちます。
クエ釣りは、1日のうちで釣れるチャンスが限られることが多い釣りです。潮の動き始めや潮止まりの前後に集中してアタリが出ることもあると言われるので、船長が「そろそろ時合い」と言ったタイミングでは、特に集中して竿先を見るようにしましょう。エサの状態もこまめに確認し、弱っていたら交換します。
クエ釣りに挑む前の心構え
クエは、何回通っても1本も釣れないことがある魚です。そのぶん、釣れたときの喜びは格別です。「今日はアタリを1回もらえたら上出来」くらいの気持ちで、1日を楽しむのがおすすめです。
また、クエ釣りのタックルはとても重く、1日中竿を持っているのは大変です。竿受けに置いて待つ時間が長いので、船酔い対策や、日差し・寒さの対策もしっかりしておきましょう。体力に自信がない場合は、軽めの竿や電動リールをレンタルできるか、船宿に相談してみるとよいと思います。
予約のときに確認したいこと
- エサ:活きエサは船で用意されるか、自分で釣るのか
- 仕掛けの指定:道糸・ハリスの太さ、オモリの号数
- レンタル:竿やリールを借りられるか
- 乗船料と釣れたときの扱い:大物の持ち帰り方法や、さばいてもらえるか
釣ったクエの持ち帰り方と食べ方
クエは大型になるので、大きなクーラーボックスと多めの氷を用意しておきましょう。持ち帰り方は船宿に相談しておくと安心です。
| 料理 | ポイント |
|---|---|
| クエ鍋 | クエの代表的な食べ方。ゼラチン質の皮まで楽しめる |
| 刺身・薄造り | しっかりした身の食感が楽しめる |
| 唐揚げ・煮付け | アラまで無駄なく使える |
釣りの道具や釣り方については、こちらの記事も参考にしてください。
クエの泳がせ釣りに関するよくある質問
クエの泳がせ釣りのエサは何がいいですか?
活きイカ、アジ、サバなどの活きエサが使われます。地域や船宿によって違うので、予約時に確認しましょう。活きエサが弱ったときのために、冷凍イカを予備に持っていくと安心です。
ハリスは何号を使いますか?
50〜60号前後の太いハリスを使う例が多いです。根に潜られても切られにくいよう、ほかの泳がせ釣りよりずっと太くします。船宿の指定に合わせてください。
クエは初心者でも釣れますか?
数が少なく、1日にアタリがないことも多い釣りです。ただ、船長の指示に従えば、初心者に大物が掛かることもあります。道具のレンタルがある船宿を選ぶと始めやすいです。
クエのシーズンはいつですか?
地域や船宿によって出船の時期が違います。水温が高い時期によく釣れると言われる地域もあるので、船宿の情報を確認しましょう。
クエとアラは同じ魚ですか?
地域によってクエを「アラ」と呼ぶことがありますが、標準和名の「アラ」は別の魚です。釣り場や市場の呼び名に注意しましょう。
アタリがあったらすぐ合わせるべきですか?
前アタリで合わせると、エサだけ取られることが多いと言われます。竿先が大きく引き込まれて、食い込んだのを確認してから合わせましょう。
クエ釣りの服装や持ち物で気をつけることは?
長い時間、船の上で待つ釣りなので、季節に合った防寒着や雨具、日よけの帽子、船酔い止めを用意しましょう。大物が釣れたときのために、大きめのクーラーボックスと多めの氷も必要です。手を守るグローブもあると安心です。
電動リールは必要ですか?
水深や船宿によって違いますが、大型の電動リールを使う船宿が多いです。掛かった直後に一気に巻き上げて根から引き離すためにも、巻き上げる力の強いリールが向いています。レンタルがあるか確認しましょう。
まとめ|クエの泳がせは「待つ」と「一気に巻く」のメリハリ
- クエは岩礁帯にすむ大型の根魚。掛かると根に潜ろうとする
- ハリス50〜60号前後など、ほかの泳がせ釣りよりずっと太い仕掛けを使う(船宿の指定優先)
- エサは活きイカやアジなど。針の刺し方でエサを弱らせない
- 前アタリでは合わせず、食い込んだら一気に巻いて根から引き離す
- 数が少ない魚なので、1本との勝負と考えて挑む
クエは、釣れれば一生の思い出になる魚です。準備をしっかり整えて、根魚の王様に挑んでみてください。
